能登半島地震に関する当社の情報をまとめています。こちらよりご確認ください。>

「のと輪島」の産業づくり

サンテック株式会社「のと輪島工場」

当社「のと輪島工場」の設計は、岩和志会長(当時社長)の考えに基づき、以下の4つの目的を持って進められました。

1.ものづくりの再生
わが国の製造業は、人件費の安い海外に生産拠点を移していき、製造業の空洞化という問題に直面しています。その現状に対し、日本の地域や人が持っている資質を再度掘り起こし、「ものづくりの再生」を図る1つのモデルを提案しています。

2.地域の産業づくり、人材育成
輪島市では、輪島塗に代表される生産技術が蓄積し、全国に輪島漆器が販売されてきました。こうした「ものづくり」の潜在的資産と輪島空港に近接する立地を活かして21世紀の生産拠点の一例をつくることを目的としています。

3.働く人のための環境づくり
働く人に求められるのは、自分が作り出す製品に誇りと自信を持つこと、そのための努力、研究、そして広い教養です。労働はただ時間を切り売りするものではなく、人間性を豊かにする時間を共有することと考え、そのような場が生産機能(工場)とともに併設される環境を提案しています。

4.自然との共生
本工場が立地する輪島市の三井地区は、三井杉の産地として有名で、豊かな能登の自然が残されています。21世紀の新しい生産拠点には、造成と建設による自然破壊を最小限にした、自然と共生する豊かな生産環境が求められています。

設計概要(工場に込めた思い)

1.外観
折板状の屋根は雨水を集め、空中に架け渡された樋を介して斜面上の貯留槽まで運ばれます。雨水は斜面の動植物のための散水装置(水盤)や虫除け溝へ供給されます。

2.外観
空港からアプローチする際に最初に見えてくる軽快な杉板の外壁には石川県産材を使っています。来客および従業員のアプローチは、造成による高低差を活かして南面の地下にとっています。

3.外観
自然の地形に手を加える部分を最小限にする造成計画をおこないました。敷地全体を平らにしてから建物をつくるのではなく、山を出来るだけ残し、等高線にそって建物を沿わせるという手法を採用しました。

4.製造棟
資材や製品の搬出入は、地上1階西側のトラックヤードから行います。作業場を囲んで検査室、事務室、食堂などが配置され、見通せます。光の反射板を兼ねた高い天井は明るい仕事場を実現しています。

5.製造棟
作業場内部の壁にも石川県産の杉板を使っています。工場の作業場とは思えない開放感を生む効果をもっています。

6.管理棟
東側は山の木々に面しています。食堂や打合室からは四季折々の、この場所ならではの風景を楽しむことができます。

7.管理棟
工場の周囲を巡る空間は、作業場の大きなスケールとは対照的に、住宅的な適度なスケールを持ち、ゆるやかなスロープによって徐々に上っていく、やすらぎの空間です。

建築概要
【構造・規模】鉄骨造(一部RC造)/地上1階、地下1階  
【延べ床面積】1454.41㎡(1階 895.35㎡ 地下1階 559.06㎡)
【 建築面積 】937.80㎡
【設計・監理】LLPソフトユニオン
【施工】兼六建設株式会社